司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.8 「タイムキーパー」2018年11月

コラムVol.8 「タイムキーパー」

今年もあと2ヶ月…そう思うと、やり残している諸々にあたふたと焦るのが、私のこの時期の年中行事。

時間は、誰にも平等に刻まれていきます。
だからこそ上手に使いたいものですね。

今回は、司会をさせて頂く時に必要な、「時間の管理・タイムキーパー」について書いてみたいと思います。

失敗も…

先日の、とある挙式司会でのミス。。。
通常20分〜30分以内の結婚式が、40分もかかってしまい、その後に、ブーケトスと集合写真を撮るアフターセレモニーを行いました。

時計を見ると、披露宴開宴予定時刻!now!
通常、式が10時開式なら披露宴は11時開宴という計画をたて、式終了から披露宴開宴までは、準備や休憩の時間を30分程とってあります。
結果この日は、披露宴開宴が30分遅れとなってしまいました。

幸い、この後の式がなく、この披露宴への影響のみで、そして、何より新郎新婦とご家族は最高に喜んで下さったとのことでした。
が、しかし
現場では司会者1人で仕事をしているのではありません。
たくさんのスタッフの皆様と作り上げていきます。
そこには共有しているタイムスケジュールがあります。

スタッフの皆様にご迷惑をおかけしたのには違いありません。
かなり落ち込みました。
時間を守る事には、特に気をつけてきたはずなのに…

言い訳、ではなく、、、
なぜこんな事になってしまったのか?細かく振り返って、その原因を追求し、二度と同じ過ちを繰り返さないと、あらためて思いました。
この時の反省点、改善点をまとめてみました。

タイムキーパーで大切な事

  • 時間配分。ひとつひとつの項目にどれだけの時間がかかるのかを想像して、式次第を組み上げる事。
  • 当日は突発的なことも起きるため少しゆとりを持たせておく事が必要。
    (この時は、新郎新婦のやりたい事を取り入れ過ぎ、かなり詰め込みました。さらに、スピーチが5分の予定でしたが、なんと15分!想定外過ぎました。)
  • 時間が遅れた時に、どこで短縮するのかを決めておく事。
    (式が始まるのも8分程遅れていました。どこかで、時間を短縮しなければいけないのに、それもままならない内容の式次第でした。)
  • 時間が余ってしまった時、どう時間を繋ぐのかを準備しておく事。内容や主旨をちゃんと理解した上で、何をプラスして喋って繋ぐのかです。
  • 取捨選択。何を優先させるのかをきちんと決めておく事も必要です。
    時間を守ることが最優先とされる場合は、思い切って捨てなければいけない事が出てきます。途中休憩を無くすとか内容を1項目やめる等。
    逆に内容優先であれば、多少時間が延びてもかまわない時もあります。
    前もって決めて、お客様とスタッフとも共有しておく事が必要です。
  • 自分の時間だけではなく、かかわる皆様の貴重な時間を頂戴しているという意識を持ち続ける事。感謝の気持ちが、言動に表れます。

失敗か成功か?

今回の挙式は、特殊なパターンの挙式で、やってみなければ分からない事が多過ぎました。
だからこそ、失敗も含め、私にとって忘れられない特別なお式になりました。

それは、ブラジル人の新郎と日本人の新婦の結婚式。
ブラジルスタイルの教会式をご希望でした。
彼のお父様がブラジルで牧師さまをされていらっしゃるので、お2人の結婚式も当然、牧師さまをおつとめ頂く事になりました。

お父様は全く日本語を話されません。ポルトガル語のみです。
参列のお客様の4分の3は日本人でしたので、私は日本語で進行のお手伝いをさせて頂きました。
前もって新郎新婦との打合せをし、当日、リハーサルも少し出来ましたが、ブラジルスタイルというものに対する認識が甘かったと思います。

新郎と新郎母入場から始まり、新郎父と新婦母、ベストメンとブライズメイド4組、そして新婦父と新婦。
扉を開けては閉め、次々にご入場されます。

新郎新婦が祭壇に揃うまで10分かかりました。通常の倍の時間です。
入場しながら、新郎新婦に対してやそれぞれに礼を尽くし言葉を交わし、時間はどんどん積み重なっていきました。
牧師さまのスピーチも翻訳が用意されていた内容ではおさまりきらず、家族に語りかけ、お嫁さんに語りかけ、息子に語りかけ…
5分の予定が15分に。

しかし、笑顔と涙と拍手喝采が自然と沸き起こり、情熱的で愛に溢れたとても素敵なお式でした。
末永くお幸せに…

時は金なり

アメリカ合衆国建国の礎を築いたベンジャミン・フランクリンの言葉です。
外交家・政治家・物理学者・作家・発明家・気象学者と多方面で活躍し、100$紙幣の顔になっているベンジャミン・フランクリン。

その著書「若き商人への手紙」の中の言葉、
『Remember that time is money』
直訳すると『時間はお金そのものであることを忘れるな』といった意味でしょうか。

時間の過ごし方次第でお金が生まれますし、時間を味方につけお金自体を働かせると、さらにお金を生み出しますし、限りある命を時間に換算したら、とめどなくカウントダウンが進んでいく現実。

時間も、お金も、命も、浪費していたらもったいない。
何に時間を使うのか?
その積み重ねが自分の「生き方」に繋がっていくのだと思うと、司会でのタイムキープはもちろん、自分の人生のタイムキーパーをしっかり務めなくちゃ!と自戒をしています。

ただ、ボーッと生きていると…チコちゃんに叱られますよ。(笑)

森藤りか