司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.39『オンラインで好感度アップのコツ⑦語尾編Ⅳ』2021年6月

コラムVol.39『オンラインで好感度アップのコツ⑦語尾編Ⅳ』2021年6月

「Clubhouse(クラブハウス)」に登録をしました。「世界中の人が気軽に話し合える場所を提供する」というコンセプトの音声SNSアプリです。アメリカから日本に上陸し約半年。それぞれテーマを設定した「ルーム」で色々な人がスピーチや雑談をしたり、それを聞いたり、会話に加わることもできます。参加できるラジオという感じです。音声のみというところも興味深くて、ひとつふたつと気になる「ルーム」の扉を開いています。声の力が見直されているなぁとなんだか嬉しい日々を過ごしています。それでは、今回も『語尾』のお話です。

語尾の上げ下げで相手を動かす

語尾で相手の動きが変わること、皆様もきっと体験されていると思います。
例えば、結婚式で「新郎新婦、ご入場です!」とか、講演会で「講師の先生の御登壇です!」と華々しく言われたら思わず拍手してしまいますよね。
「拍手をお送り下さい。」「拍手でお迎え下さい」と言わなくても、です。
でも、気持ちの中では「拍手して下さいね。」と思いながら言っています。
すると自然に、朗々と歌い上げるように語尾が上がります。そして自然に拍手が起きます。語尾の上げ方が中途半端だと、拍手をして良いのかどうかお客様も迷ってしまいます。
そんな時は、「あ、しまった!」と実は心の中は少し慌てながら笑顔で、「拍手をお送り下さいませ!」と付け加えます。また、逆に拍手無しの方が良い場面では、語尾を下げて言います。

語尾のスピードで相手を動かす

至急対応しなければいけないお仕事がある時、急いでコピーが欲しいとか材料の調達を誰かにお願いするとしましょう。どう言いますか?たぶん、そんな時の言い方は、早口になりますよね。急いでいる、早く動いて欲しい、という気持ちで伝えるので、言葉も速くなります。つられて、言われた方も急いで対応しようとしてくれます。これが、語尾だったり全体の言葉のスピードで相手を動かすテクニックなのです。これは、相手によって使い分けて応用することもできます。皆様の周りの、のんびりやさん、せっかちさん、テンパって挙動不審になる人など、その人にあわせて、語尾のスピードを変えるのです。のんびりやさんには速く、せっかちさんにはゆっくりと、テンパってしまう人には落ち着いて静かに丁寧にと、発信する側のスピードにつられて行動してくれます。
「速くやりなさい」「丁寧にやりなさい」「落ち着いて下さい」と言うことなく、その人の動き方を変え、お仕事の能力や技術も向上させられる発信側の『語尾』のテクニックを是非、試してみて下さい。

語尾でYesを貰う

初対面の方との会話では、「はい」や「いいえ」で返事ができる答えやすい質問、クローズドクエスチョンから始めます。相手との距離を縮めるのにも必要なプロセスです。また、「〜しますか?」と聞かれたら「いえ、結構です。」と断りやすいですが、「〜しましょう!」と肯定的に言われると、はっきりお断りしにくくなります。「え〜、でも〜」と言いながら促されてしまいます。ビジネスにはもちろん、プライベートでも積極的に語尾の使い分けを活かしてみましょう!

さて、『語尾編』をⅠからⅣまで書いてきましたが、一旦区切りをつけたいと思います。次回はまた違った切り口で書いていきます。

森藤りか