コラム 声×言葉
コラムVol.6 「司会の準備」2018年9月

最先端を行くファッションブランドのショーウィンドウには、秋冬ものが並び始めています。
まだまだ着られないけれど、確実に夏が終わりに近づいていて、年末まではきっと、アッと言う間よねと、なんとなく気持ちが焦るような感覚になります。
司会のお仕事も、秋のお祭り、運動会、婚礼トップシーズンヘと突入です。
土日はほとんど、お仕事をさせて頂いていますが、平日も意外にやる事がたくさんあるのですよ。
今日は、司会の準備について書いてみようと思います。
『お仕事の前に、準備をどれくらいしますか?』
先日あるセミナーに参加した時、『お仕事の前に、準備をどれくらいしますか?』という問いかけがありました。
司会以外の様々なお仕事をされていらっしゃる10名くらいの方々の答えは、60~80%と100%より少ない数字でした。
私が答える順番が回ってくるまで、皆さんと違う答えだし、合わせた方がいいのか?どうしよう?
頭の中がグルグルで、ドキドキしながら、勇気を出して、私は、120%の準備をしますと答えました。
司会をさせて頂くには、どのような趣旨目的の会で、お客様はどのような方々で何名くらい集まるのか、どのような雰囲気で行いたいのかなどを、まず把握します。
それには打ち合わせが必要です。
把握できたら、式次第、進行表を作り、台本を作り、ひと通りイメージを作り上げます。
その中で、時間つなぎが必要になったり、ハプニングが起こった時の対処の仕方までなんとなくイメージをしておきます。
また、旬の話題の提供や、時事ネタ、クライアントさんに近い話題までお話し出来たら喜んで頂けるかなと考えて、ネタの準備をします。
120%の準備をしていると言えるでしょう。
毎回、準備したこと全てを使うことはありません。
それでもいいのです。
こんなにしなくても、って思いますか?
なぜ、たくさん準備をしていくのか?
実は、私は怖がりです。
ホラー映画やお化け屋敷も苦手ですが…
司会の現場では、何が起こるか分からないと思うと、とてもとても怖いのです。
120%の準備がいるのは、怖がりの私のメンタルを整えるためなのです。
司会をしていると、突発的な事がたくさんおこります。
音楽が出ない、映像が流れない、次に出る方がいらっしゃらずトークで繋いで下さいとかはよくある話で、ステージ上で使うものを落として壊れてしまうとか、挨拶が長過ぎて逆に時間をまいて(縮めて)下さいとか、インタビューしら想いもよらぬ応えが返って来るとか。。。
あ~ 怖い 怖い。
そんな時、何が起きているのか、ベストな対処方法は何かを瞬時に判断し言葉を選んで伝える事を求められます。
瞬発力が必要になります。
瞬発力を発揮するための精神安定剤になっているのが、たくさんの事前準備です。
お客様目線での準備
司会のお仕事は、一方通行ではありません。
まずお客様が、第一。
そして、司会者からするとクライアントさんも私のお客様です。
司会者は、お客様から見れば、クライアントさん側の人です。
お客様の気持ちに寄り添いながら、クライアントさんの伝えたい事をお伝えし、お客様との距離を近くし、クライアントさんのイメージアップに繋げるお手伝いをしたいと思っています。
司会としての立場、役割、責任を見失わない事は大切です。
司会者は、橋渡し役であり、宴の下の力持ちです。
準備をたくさんするのは、どちらのお客様にも喜んで頂きたいからです。
新作発表やパネルディスカッションなどでは、一般のお客様が聞いても分からない難しい言葉を使われる事があります。
クライアントさんは専門職なので、普段から当たり前に使っている言葉でもお客様に伝わらなければ、意味がありません。
そんな時は、お客様に伝わるよう簡単な言葉に直したり、少し説明を加えて分かりやすくしたりします。
私自身もそれについて知識を入れておかないとできません。
これも事前準備のひとつです。
普段からの積み重ねも大切
積み重ねには、いくつかあります。
普段から、誰かと話す時も聞き上手、導き上手になる意識をしながら会話を心がけると、だんだん力がついて行きます。
相手の話を良く聞き、絶妙な相槌をうって話しやすくしたり、相手の話を面白くするツッコミを入れたり、オチへ導いたり、楽しく会話する意識をする。
そんな積み重ねを楽しんでできたらいいなと思っています。
そして、情報収集も大切です。
時事的なニュース、旬の話題はもちろん、ことわざや花の名前や健康の知恵など、ありとあらゆる事、どんな事も知っていて損はありません。
記憶力も個人差がありますが、自分の興味のある事や好きな話題は覚えやすいと思いますので、得意分野から知識を増やしておくと、話のネタの引き出しが増えて行きますね。
情報収集して話題の引き出しを増やしましょう。
おまけですが…
ことわざにも、前もって準備をしておきなさいと言う意味の言葉がたくさんあります。
「備えあれば憂いなし」「転ばぬ先の杖」「濡れぬ先の傘」
「用心に怪我なし」「念には念を入れよ」「後悔先に立たず」
何事も、準備が肝心ですね。