司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.66『言葉選びⅨ』2023年9月

コラムVol.66『言葉選びⅨ』2023年9月

ここ数回、時間感覚や時間の使い方にまつわる言葉選びについてのコラムを書いてきました。時間が長く遅く感じる時も、あっという間に感じる時も、実際には時間は一定の速さで流れています。そして、誰にも平等に与えられているものです。今回ももう少し深掘りして書いてみたいと思います。

時間感覚の差

時間を遅く感じる時と、早く感じる時があるのには、人間の脳が情報を処理する時間と深い関わりがあるそうです。よく知っている情報を処理する場合は情報変換のプロセスにあまり時間がかかりませんが、新しい情報を認識した場合には情報を変換するのに時間がかかってしまいます。情報が多ければ、処理する時間も長くかかります。よって、時間が長く遅く感じるという事です。

新しい情報を増やす

新しい情報を多く吸収した日は長く感じるのです。知っている情報ばかりがあふれていた日は短く感じてしまうのです。時間感覚は形として、掴む事も触れる事も出来ません。脳で感じるものです。人間の脳が視覚・聴覚・触覚・味覚・嗅覚の五感などの感覚から情報を集めて時間感覚として伝達されます。新しい経験の数を増やし、新鮮な気持ちを体感することが大切なのです。

ただ待つのは長い…

人間は何もしないと、時間が過ぎて行くことそのものに注意を向ける傾向にあります。時間経過に注意を向ければ向けるほど、時間はどんどん長く感じてしまいます。この待つという時間はとても長く感じます。さらに記憶としても残るものがなくただ流れ去ります。全く別のシチュエーションですが、披露宴のスピーチを頼まれて出番を待つ緊張の時間は、早く来ないかなと待ち遠しく長く感じます。ハードな筋トレをしている時も、早く終わらせたいと長く感じます。脳の情報処理だけではなく、精神的な要素も関わってくるのです。

スケジュールに追われ、時間に使われるのではなく、ひとつひとつの体験を大切に生きて、豊かな時間の使い方をしていきたいです。

森藤りか