司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.55『季節感』2022年10月

コラムVol.55『季節感』2022年10月

くしゃみが連続して出て、目が痒いです。花粉症の私はこんな症状から季節の移ろいを感じることができます。この時期は、秋の植物だけではなく、洋服や寝具の入れ替えをしても、目と鼻にきます。分かる人には分かる季節感。今回は、季節感について書いてみます。

コミュニケーションの上手な人は取り入れています。

季節感。年中行事やイベントの知識は、会話力を向上させます。
お正月、節分、バレンタイン、ひな祭り、卒業、入学、端午の節句、お盆、お彼岸、などなど、たくさんあります。司会をする時も、オープニングで季節や気候の話から始めるのが定番です。営業の場合、パーソナルな質問や家族構成をストレートに訊ねて失敗してしまうケースもあると思いますが、季節ネタの話題から入ると案外スムーズに、立ち入った部分へ近づけることが多いです。代表的な年中行事やイベントの知識を身につけておくと、会話もはずみ、お客様の情報を引き出せたり、関係性を深めることができます。年中行事やイベントは、その準備や贈答品など、消費を促す大きなきっかけのひとつでもあります。

会いに行く理由になります。

季節の食べ物、旬の食べ物は、季節感を感じる代表格です。信州から朝穫れのとうもろこしが届いた時、山形から佐藤錦やラフランスが届いた時、お裾分けを理由に、何人かに会いに行きます。新鮮なものは新鮮なうちにお手元へお届けしたいので、今日、今すぐに会いたいですね。会えば、お仕事の話ももちろん出来ますし、提案も聞いて頂けるチャンスになります。そして面白いことに、お届けしたお客様から、逆に、栗の渋皮煮を作ったからと頂いたり、手作りしそジュースや手作りシフォンケーキ、すいかや柿や梨、冬至の柚子風呂に入れる柚子を頂くこともありました。季節感を大切にすることで、お客様との関係性の深まりを実感できました。また、手土産は生菓子と決めていて、その日のうちに必ず会いに行くという、凄い(少々強引?!)営業さんもいらっしゃると言う話を伺ったことがあります。

信頼される接客につながります。

年中行事やライフイベントは、地域や年代によって風習や考え方が異なったりもします。そのいわれや、地域ごとの風習などもリサーチして知識として持っておくと、お客さまとの会話や提案にさらに磨きがかかります。ご祝儀の一般的な金額、贈答品の昨今の傾向など、お客様にとって参考になる具体的な情報もお話しできるとなおよいです。不安や疑問を抱いているお客様に、知識を活かしたアドバイスとサポートができれば、信頼感を抱いていただける接客につながります。

季節を感じながら暮らすことは、単調な日々に変化をもたらし、良い刺激が、ドキドキやワクワク感を与えてくれるだけではなく、コミュニケーションツールにもなるのです。

森藤りか