司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.5「変わってゆく結婚式事情」2018年8月

コラムVol.5「変わってゆく結婚式事情」

暑が続く中、皆様、いかがお過ごしでしょうか?
司会者にとっては、夏本番!イベントシーズンです!
猛暑の中、熱中症対策、日焼け対策、虫除け対策、汗でお化粧が崩れないように(どちら様ですか?と探されないように)、などなど… 様々な方面に対策を施し、笑顔で司会をさせて頂いております。

夏は、夏祭り、盆踊り、花火大会とベストシーズンでお仕事を頂きますが、オフシーズンと言われる7月8月の結婚式の司会依頼もたくさん頂いています。
そこで今日は『変わってゆく結婚式事情』について少し書いてみます。

夏日や猛暑日という呼び方が気温で変わる

ところで、夏日や猛暑日という呼び方が気温で変わるのは、ご存知ですよね。
日最高気温が25度以上の日を夏日、30度以上の日を真夏日、35度以上の日を猛暑日、夜になっても気温が下がらず、最低気温が25度以上ある夜を熱帯夜と呼ぶと気象庁の用語で決められています。ご参考まで。

それにしても「夏の熱さも、季節感の味わい」と受け入れられるのは、35度未満の真夏日と呼ばれるくらいまでですよ。荒々しく激しい勢いの、と言う意味の「猛」。猛烈な暑さの猛暑日は、言葉としても受け入れ難い気持ちがひしひしと伝わってきますよね。

40度を超える日もニュースに上がっていますが、この先、呼び名がつけられるとしたら、どんな名前になるのでしょうね。

ブライダルオフシーズンのはずなのに…

憧れのジューンブライド。6月の花嫁は幸せになれる…という言い伝え。
ロマンチックですよね。
でも、6月は結婚式を挙げたい月別ランキングでは、第7位なんですよ。
ジューンブライドは、日本の気候では梅雨の時期で、もともと閑散期対策として海外から取り入れたものだったと言ってしまうと、せっかくのロマンチックさがどこかへ飛んでいってしまいそうですが…
第7位と言うのは、なかなかの健闘ぶりなのかと思われます。

そしてやはり人気なのは、春と秋で、第1位は10月、第2位は11月、第3位5月、第4位9月、第5位3月というランキングになっているようです。

さらに驚いたのは、ジューンブライドを押さえて、第6位に7月という結果が出ていることです。
その訳は?! 

なんと!こちらもブライダル業界の経営戦略のようなんです〜。
オンシーズンとオフシーズンでは同じ内容の見積もりでも金額に差があったり、オフシーズンの企画で提供されるお得なパッケージを選ぶカップルが増えているのです。こうしたブライダル業界の戦略が、堅実な若者のニーズに見事にマッチし、オフシーズンと言われていた真夏にブライダルのお仕事が増えています。

どうぞ皆様、盛大な拍手でお迎え下さい。

結婚式。

新郎新婦が列席者からの大きな拍手に包まれる華々しい入場のシーン。
お世話になった大切な方々、どんな時も支えてくれた仲良しのお友達、
みんなから一心に祝福を受ける結婚式。
祝福の気持ちは、拍手に込められます。
扉が開いて、姿が見えた瞬間、沸き起こる拍手。
涙を拭いながらも、叩く事をやめないその手から発せられる、良かったね、おめでとう!が溢れる気持ち。拍手。

どんなBGMよりも感動的です。

司会者も、率先して拍手をします。
打合せをして新郎新婦の人となりや、結婚式に対する想いを共有させて頂くと、つい想い入れが強くなり拍手も強くなり、毎回、掌がかゆくなっています。
なのに…

近頃では、少し様子が変わってきました。
列席者の手には、スマートフォン。
ほぼ80%くらいの方々はスマホのカメラを構えて、新郎新婦をお迎えします。
撮影してますから、手なんて叩けません。
拍手でお迎えするのが難しくなってきているのです。

残りの20%の方々も、パラパラとして下さった拍手を、周りを見渡してすぐにやめてしまいます。
マイノリティはマジョリティに勝てないのか〜。
パラパラの拍手ほど切ない物はありません。むしろ、最初から無い方が美しい。
祝福の想いで向けられるたくさんのカメラには、きっと素敵な表情の新郎新婦が写っています。写真が大切なんです。その瞬間を切り取る写真。 時が経過してからもその時の様子は、写真を見ればそのまま分かります。
写真が大切なんです。わかっています。

でも煮え切らない気持ちがある事も否めません。

拍手喝采を頂ける事って、人生の中でそうある事じゃないですよね。
愛情のこもった拍手に包まれるって、本当に幸せな事ですし、手を叩く音って、暖かいですよね。
空気の振動みたいなものも伝わってきて、拍手に包まれる感覚は、とても心地よいものです。

列席者の皆さんの想い、音や空気感、そういう、その時しか感じる事が出来ない感覚をきちんと味わって頂けたらもっと素敵な思い出になるんじゃないかと思うこの頃です。

森藤りか