司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.37『オンラインで好感度アップのコツ⑤語尾編Ⅱ』2021年4月

コラムVol.37『オンラインで好感度アップのコツ⑤語尾編Ⅱ』2021年4月

前回、『語尾』の強弱や長短で印象が変わることや、『語尾』の使い分けで感動を際立てることが出来るというお話を書きました。今回も意識して使って欲しい『語尾』についてお伝えしていきます。

「〜と思います。」の落とし穴

司会でもついついやりがちで気を付けたいことは、「〜と思います。」です。
例えば「それでは、会議を始めたいと思います。」「こちらの商品について説明したいと思います。」「〜と思います。」は柔らかい音成分です。「〜と思います。」をつけた方が優しい印象になるので、B to Cの場合は良いかも知れません。ただ、断言したくない時にも無意識に使っていることがあります。多用すると鬱陶しく感じられることもあります。
B to Bの場合や式典のような場所では、回りくどく言わず、言い切る方が気持ち良い印象になります。

「それでは、会議を始めます。」「それでは、会議を始めてまいります。」
「こちらの商品について説明します。」「説明致します。」「説明させて頂きます。」
この方が自信も伝わり、雰囲気も引き締まります。
読んで字の如く、「〜と思います。」という言葉を生かすには、本当に自分の想いを伝える時にだけ使って頂きたいと、思います。

「〜ですけど。」 ……何?!

「〜ですけど。」「〜だけど。」で文章を終える人が時々いらっしゃいます。そう言われたら返事に困ることはありませんでしたか?「けど・だけど」の後に来る言葉が何なのかを、推測しなければいけないからです。そして、「けど・だけど」の後に来る言葉は、その前の文の逆の意味を伝えることが多いのですが、違う場合も文章としてあり得るのです。
「チャレンジしてみたけど。。。」 何でしょう?どうだったのでしょうか?答えは…、
「無理でした。」「もう、次はないです。」「なかなか面白かったです。」
「まだよくわからないので、続けてみます。」「今度一緒にいかがですか?」
嫌いも好きも肯定も否定もつけられます。
このように「けど・だけど」の後に来る言葉にこそ、その人の本当に伝えたい気持ちが隠されています。故に、その気持ちを強調する作用も働きます。

この「けど・だけど終え」をインタビューや対談では、敢えてすることがあります。
「けど・だけど」ときたら相手に次の質問を投げて、会話のラリーを活発に演出したり、予測される答えを、インタビュアーが言うことも有ります。分かり合えているように感じて、心の距離感が縮まり、より深く相手から本音を引き出すことが出来ます。
以前コラムVol.28でも書きましたが、本意を「けど」で言い止して(いいさして)、察して下さいという気持ちもありますので、「けど・だけど」をいう時、いわれた時は、心の声によく耳を澄ませてみて下さい。

『語尾』と言えば、私の暮らす地域は「三河弁」を話します。「りん。だら。じゃん。」がメインの『語尾』です。このお仕事を始めてからは、咄嗟に出てしまわないように普段から使わないようにしています。「これ、食べてみて。美味しいでしょ?私これ、好きなのよね。」を「三河弁」で言うと「これ、食べてみりん。美味しいだら?私これ、好きじゃんね。」
幼い頃から慣れ親しんだ大好きな『語尾』で、それはそれで大切に語り継ぎたい日本語です。

森藤りか