司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.61『言葉選びⅣ』2023年4月

コラムVol.61『言葉選びⅣ』2023年4月

新年度のスタート。新しい環境や新たな挑戦が始まった方も多いと思います。慣れるまでは、何かと大変な事もあるでしょう。でも、自分の出来る事が増えていく事、世界が広がって行く事に、ワクワクを感じながら過ごしていきたいですね。私自身も常に情報を集め素直に受け止めバージョンアップしたいと思っています。いくつになっても学ぶ心を大切にしていきたいです。

LINEのMUSICスタンプ

最近知ったのですが、数年前にあるアーティストが、LINEのMUSICスタンプでベストアルバムをリリースしました。MUSICスタンプとはLINE公式のスタンプで、相手にスタンプを送るとアーティストの楽曲やボイスが再生されるというものです。「スタンプのいいところは送りつけることができる。送られた側は買わなくても短い時間で試し聴きできる。そして、ファンの方は、好きなアーティストを宣伝する喜びを感じてもらいたい」という想いからの発売だったそうです。MUSICスタンプで配信できる最大の長さの8秒です。ベストアルバムスタンプなので、このアーティストの人気曲24曲を8秒ずつに編集し、さらに、8秒にまとめることに苦労したというスタンプのためだけに作ったオリジナルの新曲を1曲リリースしました。新曲発表のフリーライブも行われ、それはもちろん8秒間。フリーライブのステージに駆け出したメンバーは、大歓声が上がる中、新曲を披露しましたが、8秒間のライブパフォーマンスはあっという間に終了し、観客からはすぐに「アンコール」が起こりました。再びステージに登場したメンバーは「みんな8秒のために集まってくれてありがとう!」と感謝を伝え、ヒット曲をフルコーラスで披露し、大盛況のうちにライブは幕を閉じたそうです。ライブ終了後、メンバーは「短い時間だからこそ緊張した」とライブの感想を語り合いながら、集まってくれたファンに改めて感謝したというお話。音楽業界も、CDから配信にシフトしたり、変化の波を乗り越えて生き抜くのは大変なことだと感じました。

難しい言葉が伝わらない

そのベストアルバムリリースに関しての記者会見の様子をTikTokで見ました。「CDではなくLINEのMUSICスタンプで楽曲を発表することは、日本の音楽業界を愚弄している事につながりませんか?」という記者の質問に対し、「まず愚弄とはなんですか?」と質問を返しましたが、結局分からないまま話が進んで行き、良く似た発音の他の人気バンドの名前と間違えて、褒め言葉にとったという面白い動画でした。言葉は伝わらなければ意味がないです。でも、勘違いや聞き違いから生まれる笑いも、言葉の面白さだと思います。

森藤りか