司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.36『オンラインで好感度アップのコツ④語尾編』2021年3月

コラムVol.36『オンラインで好感度アップのコツ④語尾編』2021年3月

花粉症の方々には辛い季節がやってきました。合わせて黄砂に悩まされる季節でもあります。私自身も、喉が炎症をおこしたり、くしゃみ鼻水鼻づまり、声には一層気を使う季節です。日本に黄砂として飛んでくる砂は、モンゴルのゴビ砂漠の砂がほとんどだと聞きました。え?!「語尾砂漠」!?咄嗟に頭に浮かんだゴビ違いですが、黄砂=ゴビ砂漠と覚えられました。今回は『語尾』のお話です。

『語尾』に意味が宿る。

『語尾』で相手に与える印象は変わります。そして、日本語の文法の形から、語尾がどうなっているかで意味も変わります。「〜します。〜しません。」のように、肯定か否定か全く逆の意味になります。会話の流れから予測がつくことも有りますが、語尾までしっかり発声して伝えることが大切です。
例えば「〜ですか?」という語尾が、小さい声や早口で聞き取れなかったとしたら、質問されたとは気付かず「〜です。」と受け取られるかも知れません。また、「〜ですが、」と受け取られたとしたら、この後に続く何か逆説の文章を待たれてしまうでしょう。どちらも、会話のキャッチボールが上手くいかず、意思疎通はとれていませんね。まず大切なのは、相手が聞き取れるように『語尾』までしっかり発声することです。

『語尾』に人柄が宿る。

『語尾』が強い、弱い、軽い、弾む、伸びる、上がる、下がる…その人の印象を左右するポイントになります。
強いと、きつい印象や失礼な印象になります。
弱いと、自信がない印象で信頼感がうすくなります。
軽いとは、「〜です。」と言う時に「で」が小さい「っ」に変わり「〜っす。」となる人で、良く言えばフレンドリーですが、軽薄さや粗雑という印象になります。
弾むと、元気な印象になります。「〜ですっ。〜ますっ。」ただし、連続すると稚拙な印象にもなるので注意して下さい。
伸びるのは、想像がつきますね。「〜がぁ、〜とぉ、〜でぇ、〜にぃ、〜ですぅ。」頼りなく幼い印象です。
しかし、これらは必ずしも悪い訳ではありません。『語尾』は武器にもなります。
相手に媚びる時には、『語尾伸ばし作戦』ですよ。需要と供給が合うかどうかですが、人柄が伝われば、それもコミュニケーションというわけです。

『語尾』で生まれる豊かさ

同じ語尾を繰り返してしまう人がいます。同じ語尾を繰り返さないで下さい。単調で眠くなります。耳に入らず、つまらない印象になります。
先日ランチを頂いたお店で、お料理の説明をして下さる方が、そうでした。
「こちら〜になっております。向こうのものは、〜になっております。手前のものは、〜になっております。
「なっております。」が気になって肝心のお料理が何だったのか、箸を入れる時にはもう忘れてしまいました。
「こちら〜になっております。向こうのものは、〜でございます。手前には〜をご用意させて頂きました。」と『語尾色とりどり』に説明して頂けたら、色とりどりのお料理がさらに鮮やかに映ったと思います。
同じ語尾を繰り返さないと言いましたが、レポーターの時、現場からの中継で学んだことがあります。あえて同じ語尾、普通の語尾「〜です。〜ます。」で、センテンスの短い文章を繋げて繰り返します。その後、変化球を投げるという手法です。
「今日は○○にお邪魔しています。こちらが今話題の△△です。見た目は□□です。早速頂いてみます。……美味しいですね〜。
です。です。です。と状況を端的にリズミカルに伝え、最重要事項の部分の気持ちや感動を伝えるときだけ、〜ですね〜。と変化を付けるのです。変化を付けて強調する作戦です。

『語尾』について書き始めたら、とても奥が深くてまだまだお伝えしたいことがたくさん出てきました。続きは、また次回です。
余談ですが、桃の節句ひな祭りも中国から伝わってきたという説が有力だそうです。

花粉症、黄砂アレルギーの方は、お大事に。ゴビ砂漠に負けるな〜!

森藤りか