司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.59『言葉選びⅡ』2023年2月

コラムVol.59『言葉選びⅡ』2023年2月

今年の恵方は、南南東やや南。「やや」って…と笑ってしまいます。恵方を向いて、縁を切ることなく丸かじり、無言で食べれば願いが叶う恵方巻き。大坂・船場で商売繁盛の祈願として江戸時代末期に始まったと言われています。さらに、七福神にちなんで7種の具を使うとよいそうです。縁起担ぎや語呂合わせ。言葉選びは面白い。

「ネガポ辞典」

前回少し触れました「ネガポ辞典」は、後ろ向きネガティブな言葉を前向きポジティブな言葉に言い換える辞典です。北海道の女子高生2人が、自分のネガティブ思考を改善するために考えたアイデアで、「自分を勇気付けるものを作れれば、私みたいな人を幸せにできるんじゃないか」という思いを込めて「ネガポ辞典」を作ったそうです。まさに言葉選びで生き方が、在り方が変わり、環境が変わる、人生が変わる可能性を詰め込んだ、言葉のパワー辞典だと感じました。

ネガティブ言葉をポジティブ言葉へ変換

「ネガポ辞典」には、1つのネガティブ言葉に対して複数のポジティブ言葉への変換例と、その活用方法が載っています。変換力に感心しますし、思わず笑ってしまう変換方法もあります。
例えば、「冷たい」をポジティブ言葉へ変換すると、
① クール“Cool”。日本語に訳すと“かっこいい”。
② 落ち着いている。無駄な発言をしたりうるさくしたりしない。
③ 冷静。どんなときも感情に振り回されず冷静でいられる。
実用例 冷たいやつめ… → Coolだぜ!
物は言い様ですよね。短所が長所になり、ネガティブだと思っていたことでもそれはその人の魅力でもあるのだと、考えさせられます。
そろそろやってくる辛い「花粉症」も、
① 現代人の証。今どきの人である証。
② 繊細。“粉”に負ける程の繊細さ。
③ ティッシュ配りのひとの助けになる。こちらもティッシュを貰えるので需要と供給のイイ関係に。
④ 花粉症トークで人と仲良くなれる。話のネタの1つとして使える。
⑤ 優秀なセンサー。敏感に反応できるということは、それだけ身体に悪い物に反応し、追い出している。
⑥ 季節を実感。季節がかわりだしたことを景色等で気付く前に、くしゃみなどで実感。
前向きな気持ちになります。嫌だと思っていた事の良い面を捉えられるようになって心が軽やかになりますね。

視点を変えた発想力

「愛想が悪い」も視点を変えれば、「媚を売らない」「他人に流されない」「気疲れすることがない」といったポジティブな面が見えてきて、むしろ「どんな人の前でも媚を売らずに自分を貫いてかっこいい。」と、全く逆の印象に転換されます。
「計画性がない」のは、「行動力がある」「土壇場に強い」「常に背水の陣」「勇者」。こちらもかっこいい人に変身です。視点を変えると、今までとは違う世界が見えてきます。面白いですよね。

会話の中でネガティブな言葉に出会った時には、視点を変えてみるという習慣、違う前向きな言葉に言い換えてみるという習慣をつけてみましょう。明るく楽しいコミュニケーションを!

森藤りか