司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.27『マスクコミュニケーションのコツ』2020年6月

コラムVol.27『マスクコミュニケーションのコツ』2020年6月

マスクをしていない人の方が少数派のこの頃ですが、長時間つけることを強いられたり、にわかマスク族には、様々な弊害を感じている方もいらっしゃるようです。そこで今回は、まだしばらくは続くであろうマスク生活について考えてみました。さあ、マスクをしていても上手にコミュニケーションをとるためには、何をしましょう…

マスクが遮るもの

先日、耳にかけたマスクを顎へずらし、手話で会話する人たちを見かけました。ろうあ者の人たちは、口の動きを見ることも大切な伝達手段なのですね。
TVでは、手話通訳の人も、透明のフェイスシールドをつけるようになりました。

また、視覚障害の人たちは、周りの音や風、空気の流れを肌で感じて、状況を判断するそうです。自粛中は仕方がない事ですが、街が静かになり、人の流れが変わり、音の情報が減り、さらに、マスクで顔のほとんどを覆ってしまうため、頬で感じ取っていた風や空気の肌感覚を得られず、外を歩くことがとても不安になってしまったのだそうです。そんな影響があるなんて知りませんでした。

マスクの中は酸欠状態?

通常20.9%の酸素濃度の中で私たちは生活しています。吐く息の酸素濃度は、16〜18%です。マスクをして呼吸をするということは、自分の吐いた息を吸っていることになります。長時間のマスク生活は、健康に要注意で、自律神経のバランスが崩れ、免疫力が低下しかえって感染症をおこしやすくしてしまう恐れもあるそうです。

いわゆる酸欠状態というのは、16%以下の酸素濃度で自覚症状が現れるそうです。脈拍・呼吸数の増加、頭痛、吐き気、筋力の低下、全身脱力、意識喪失など低濃度になるほど症状は重くなり、10%以下では死に至ってしまうそうです。

富士山に登った時のことを思い出しました。富士山の酸素濃度は平地の3分の2、確かに息苦しかったです。ずっと疲労感があって、からだに力が入りづらく、吐き気、頭痛、めまいがあったり、やる気や根気、集中力は続かない状態でした。

皆さん。深呼吸しましょう!30分に1回くらい、人のいない場所でマスクをはずして、思いっきり深呼吸して、体中に、そして脳に、酸素を行き渡らせましょう!

そして、マスク呼吸が楽になる方法もお伝えしたいと思います。私のやり方は、マスクの中では、鼻呼吸中心で、呼気の方に意識をし、吸気の時間も同じくらいにして、ワルツのリズムを刻むようにしています。吐いた後3秒くらい息を止めてから吸うという呼吸を10回に1回くらいにやっています。

このワルツのリズム、三拍子の音楽は、心臓の鼓動と同じためリラックス効果があるそうですよ。

マスクコミュニケーションのコツ

非言語コミュニケーションで重要な顔の表情は、マスクで半分以上隠されてしまいます。その大役を担うのは、唯一見えている、目です。目元が笑顔になるよう意識し、相手の目をしっかりと見てアイコンタクトをとりましょう。身ぶり手ぶりなどのボディーランゲージも、普段以上に取り入れてみてください。

また、マスク越しの声はこもって聞こえます。大きめの音量とはっきりした発音・発話を心がけたいですね。

そのためにおススメなのが、表情筋を鍛えることです。今回は、口角・眉・目の3つの運動をやってみて下さい。口元は見えませんが、口角を上げて話すことで、声の響きが強くなり、はっきり大きく聞こえるようになります。眉を動かすことで表情豊かにし、目力も強化します。マスクに隠れて、是非やって頂きたいです。

・「口角交互上げ運動」
歯を軽く噛み合わせ、上の奥歯を左右交互に見せるように、口角を上げて降ろします。口角を耳ではなく、目の方向へ引き上げるように意識します。首に筋を立てないように注意して下さい。

・ 「眉毛交互上げ運動」
おでこにしわを寄せないように、片方ずつ眉毛を上げます。

・「目全開運動」
目を思いっきり見開いて下さい。何回か繰り返し、疲れたら、目をつむって休んで下さい。

マスク美人!

マスク美人? マスクマジック?
マスクは、高かろうが低かろうが鼻を隠し、歯並びが良かろうが悪かろうが口を隠します。そして、目だけが強調されます。目以外のパーツは見る人の都合で、想像され美化されるのでしょう。さらに小顔にも見えますので、実際より美しく見えてしまうこともあるようです。紫外線対策になるのも嬉しい効果です。
逆に、気をつけなくてはいけないのは、摩擦やムレによるニキビや肌荒れの心配です。私も頬骨の高い部分に吹き出物ができてしまいました。通気性のよい柔らかいコットン素材のマスクを選ぶと比較的良いようです。
また、中には、マスクをし始めてから顔がたるんできた・老けた、という人もいらっしゃいます。それは、隠れていると言う安心感から表情筋を怠けさせてしまったからです。今日ご紹介した表情筋の運動は、マスクをしている今だからこそ、気付いた時に、ちょこちょことやってみて下さい。

声も磨かれ、アンチエイジングのチャンスです!
ポジティブなマスク生活をお過ごし下さいませ。

森藤りか