司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.47『きくチカラⅤ』2022年2月

コラムVol.47『きくチカラⅤ』2022年2月

「鬼は外、福は内。」声に出して豆をまく。お家の中も心の中も整える節目になりますね。そして、義理も含め(笑)バレンタインデーでは自分の気持ちを伝えます。2月は自分の中の「好き」を考える季節だなと感じます。今回は好き嫌いに関する『きくチカラ』について書いてみます。

「嫌いな人」いますか?

いないと言う人は、人間関係も楽で、心穏やかに過ごせているでしょう。
しかし、ある調査によると約70%の人が、「嫌いな人がいる」と答えたそうです。人と初めて会った時の第一印象でも好き嫌いを瞬時に感じてしまうこともありませんか。それは、危険から身を守る脳の仕組みがあるからです。脳の扁桃体という部分で瞬時(0.02秒の速さ)に安全なのか危険なのかを判断し体全体に警戒信号を送り、身を守る準備をさせます。人の好き嫌いも瞬間的に扁桃体が、脳が、勝手に判断してしまうのです。そして、いったん「嫌い」と判断してしまうと、今度は嫌いという偏見で相手を見てしまうので、次から次へと相手の悪いところが目についてさらに嫌いになっていくようです。

自分自身の「嫌い」と思う心に耳を傾ける

「嫌い」な人がいると、心が波立ちます。つき合わずにすむ人であれば良いですが、仕事やコミュニティでの関わりですと、そうはいきません。
波長同通、逆の意味で相思相愛。相手も自分のことを苦手と思っている事も多いですが、極力悟られないように理性で感情を押さえるよう努力をするものですよね。しかし、気持ちを抑える事が長期間になればなるほど、心は磨り減り、身体にも人間関係にも不調をきたす事になるでしょう。なるべく早い段階で、いったん冷静に自分の中の「嫌い」だという感情に向き合って具体的な対処法を見つける事が大切だと思います。
まずは、『きくチカラ』で自分自身に問いかけ、正直な気持ちを洗い出してみることです。
また、「嫌い」と思う自分の気持ちを責めることはありません。脳が勝手に(笑)判断してしまうことで、自然に沸き起こる感情のひとつなのだからと許してしまいましょう。自分の心と身体に責任を持ってくれるのは自分しかいません。自分の気持ちを最優先にして、心身を健やかに保てれば、人間関係も仕事も上手くいきます。

信頼できる人に話してみる

1人で抱えていると苦しくなることも、誰かに聴いてもらうと気持ちが少し軽くなります。ただし、悪口でも陰口でもなく、気持ちの洗い出しと整理整頓のための会話であることです。自分の気持ちと向き合うためです。そこからの改善点を見つけるためです。相手がどうのこうのと言っても変わらないので、自分がどうしたいのか、どう対処していくのか、今より良い環境を作るための前向きな思考であることが重要です。

今日はここまでですが、次回、『きくチカラⅥ』では対処法をもう少し掘り下げていきたいと思います。

森藤りか