司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.67『言葉選びⅩ』2023年10月

コラムVol.67『言葉選びⅩ』2023年10月

先日、職場の人間関係について会話していた時のこと。「ある後輩が、時々タメ口で喋ってくれるから嬉しいし、可愛い。」と。なるほど〜。「先輩に対して敬語じゃないなんて、ダメでしょ。」ではないのです。
敬語とくだけた言葉遣いタメ口について、考えてみましょう。

敬語の種類

正しい敬語を話せる事は、社会人、大人としてはもちろん必要です。敬語には、尊敬語謙譲語丁寧語があります。あらためて違いをおさらいしておきましょう。

尊敬語…自分より立場が上の人を敬い、相手を立てる気持ちを表す。動詞・名詞ともに尊敬語が存在する。先生、社長、お客様、上司等、自分より目上の人が主語になる。
例「お客様がおっしゃるには、」

謙譲語…尊敬語のように相手を高めるのではなく、自分がへりくだることで相手を立て、敬意を表す敬語。動詞・名詞ともに謙譲語が存在する。自分や自分の身内が主語になる。
例「弊社、社長が申しますには、」

丁寧語…相手を立てたり、自分を下げたりではなく、言い回しを丁寧にして敬意を表す。語尾に「です」「ます」「ございます」を付けたり、言葉の先頭に「お」「ご」を付け物事を美化して表現する。
例「私から、お客様に言います。」

敬語の対義語

敬語の反対語としてあるのは、常体語タメ口です。

常体語…語尾に「だ」「である」をつける。新聞の文章に用いられ、断定的で堅い印象。
例「彼は言った。」「それを言ったのは、社長である。」

タメ口…相手を対等として扱った話し方。敬語や丁寧語を使わず、語尾に方言を用いたり、なれなれしく話す。親しみやすい言葉遣い。ちなみに「タメ」の語源は博打用語で「サイコロ」の「ゾロ目(同目)」。同じ目=ドウメ→トウメ→タメと変化した。
例「だから言ったじゃん。」「あなたが言ったんでしょ。」

言葉遣いの選択

私達は関係性によって話し方の丁寧さを変え、言葉を選び、使い分けています。また、話題によっても話し方は変わります。取引先やお客様や目上の人に対しては敬語を使い、親しい人とはカジュアルでフランクな話し方になります。実は、これを意識的に使い分け出来るようになると、話し方・伝え方の幅が広がり、関係性にも変化が現れます。この使い分けが、ものすごい武器になるのです。

続きは、次回へ。

森藤りか