司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.10 『しあわせとは…』2019年1月

コラムVol.10 『しあわせとは…』2019年1月

新しい年の始まりは、冬の凛とした空気も手伝い、とても神々しくそして清々しい気持ちになりますね。何でも出来そうな気さえしてきます。

不思議です。初詣、おせち料理、年賀状、箱根駅伝… お正月ならではの時間を過ごしながら、どんな1年にしようか、わくわくと希望に胸が膨らみますね。

2019年も幸せな1年になりますように。。。

ということで今回は、色々な角度から「しあわせ」を考えてみます。

歌から考える「幸せ」

真っ先に浮かんできたのは、♪しあわ〜せと〜は〜♪と歌い出すback numberの「瞬き」という曲です。

「幸せとは 星が降る夜と眩しい朝が 繰り返すようなものじゃなく 大切な人に降りかかった雨に 傘を差せる事だ…」から始まり、この人にとっての幸せを探り探り語っています。

先日、映画『8年越しの花嫁 奇跡の実話』を観ました。
婚約直後、病に倒れ昏睡状態に陥り、いつ目を覚ますか分からない、そして目を覚ましても元の生活に戻れるかどうか分からない花嫁と、彼女を支え続けた家族の奇跡の実話を元にした映画です。「しあわせとは」とあらためて考えるきっかけになりました。

エンドロールで主題歌が流れ始めた時、追い打ちをかけるように心を揺さぶられ、涙が込み上げてきました。映画の主人公の想いがそのまま歌詞になっていました。
それが「瞬き」という曲です。

大切な人と一緒にいられることのしあわせ。
困難が訪れた時にその大切な人を守れることがしあわせ。
それでも不安になる時もあって、実は自分の方が守られていたのかと気付いた時に感じるしあわせ。

何気なく過ごしてしまう生活の中にも、たくさん存在するささやかなしあわせを、しあわせと思えるかどうか。そんなメッセージを受け取る事ができました。

ささやかだけど、しあわせの本質のような気がします。

「幸せ」と「仕合わせ」

次に頭に浮かんできたのは、中島みゆきの名曲「糸」。

「縦の糸はあなた 横の糸はわたし 逢うべき糸に 出逢えることを 人は 仕合わせと 呼びます」

なぜなのか理由はわからないけれど、あるタイミングで巡り合います。そしてその者たちを縦糸と横糸に例えて、織り上げられる1枚の布のようにぴったりと寄り添います。すると1人では感じられなかったであろう安堵感や幸福感を感じることが出来て、周りの人をも幸せにしていけるという歌詞。

ご縁。出逢い。人智を越えた存在の仕業(?)
そして、『幸せ』ではなく『仕合わせ』という文字をあてています。

なにか意図があるように思います。「糸」だけに…(失礼致しました。)

辞書にはこうありました。

  • 『幸せ』…これ以上望むものがなく、充分に満足していられる状態。望み通りで、心が満ち足りた状態。
  • 『仕合わせ』…めぐりあわせ。運命。機会。天運。成り行き。始末。

「しあわせよし」で運がいいという意味だったのが、「しあわせ」だけで好運の意味になった。幸福。

なるほどやはり、『仕合わせ』という文字を選んだことで、人生の光と陰、清濁併せ吞む大きさ深さを感じ、より心にしみてきますね。
言葉って、面白いです。

漢字から考える「幸せ」

誰でも幸せばかりではなくて、辛くなる時も、ありますよね。 そんな時、こんなことを思ってみます。

「つらい」という漢字『辛』は、足元には +(プラス)があります。辛いことも、その根っこには+(プラス)の要素がかくされているのです。

それに気付いて考え方をポジティブに変えた時、頭の上の部分も、+(プラス)に変わり『幸』という漢字になります。無理矢理な気もしないでもないですが、辛さの真っ只中にいる時はこう思うだけでも、ちょっと楽になります。明るい未来を少し信じることができます。

そうしたら自分の心の針を幸せ方向へ向けることができます。方向が決まったらそちらへ進んでいけますよね。実際、私は何度も救われてきました。

本当のところ『辛』と『幸』の漢字の成り立ちや関係性は知りませんが、信ずる者は救われてしあわせになったらいいじゃないですか。

脳科学から考える「幸せ」

愛情ホルモンといわれる「オキシトシン」が分泌されると、喜びや幸せを感じるのだそうです。出産後のお母さんが母乳を飲ませたり赤ちゃんを育てるのに重要なホルモンとして考えられてきました。

最近では、女性のみならず、男性の中でも「オキシトシン」が働いていることが分かってきたそうです。スキンシップからも分泌され、人間同士の信頼を高め、協力を促し、愛情を感じるそうです。まさに「幸せホルモン」です。

色々な角度から「しあわせ」を考えてみました。
そういえば、私が結婚する時に頂いた言葉を思い出しました。

「一生幸せにします、とかじゃないからね。幸せにして貰おうとも違うし…。幸せはふたりでいて幸せと感じるものなんだからね。」

はい!と答えたもののその意味が何となくわかってきたのは、ずいぶん時が過ぎてからです。いい言葉を頂いたと、今更ながらやっと、感謝をしているところです。。

ウエディング司会の打合せでは、フレッシュで甘酸っぱさを醸し出しているおふたりを前に、「しあわせとは…」と先輩風を吹かすなど無粋はせず、想いとして心の中に持ちながら笑顔でお仕事をさせて頂いています。

森藤りか