司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.65『言葉選びⅧ』2023年8月

コラムVol.65『言葉選びⅧ』2023年8月

ふと指折り数えたら、今年もあと5ヶ月と残りの方が少なくなりました。7ヶ月はあっという間に過ぎたなぁと思うのか、まだ5ヶ月もあると思うのか、人によって感じ方は違いますよね。前回に続き、時間の感覚についてとその言葉がけについて書きたいと思います。

年齢に反比例する時間感覚

年齢を重ねる毎に時間が早く経つように感じる人は多いと思います。そう感じる現象を心理学的に「ジャネーの法則」と言います。歳を重ねるにつれ人生における1年の比率は小さくなるため、体感として1年が短く、時間が早く過ぎると感じる、というわけです。1歳の時に感じた1年を1分の1とすると、2歳の時の1年は2分の1となり、1歳の時の2倍速く感じるようになるということです。5歳の人にとっては1年の長さは人生の5分の1です。50歳の人にとっては1年の長さは人生の50分の1です。5歳と50歳では体感時間が10倍も違うのです。

「できごと時間」で生きている子供

そもそも小さな子供は、時計という道具を使えません。1時間が、15分が、どれくらいという感覚もないようです。起こった出来事の多さで時間の長さを推測する「できごと時間」で生きているのだそうです。時計に合わせて行動するというのは難しいため「早くして!」と言ってもムダ、「遅刻しちゃうよ。あと5分で出るよ!」と言っても伝わらないようです。個人差はありますが、一般的に発達心理学でいわれているのが、昨日、今日、明日、明後日など、過去と未来の感覚がついてくるのが6歳頃、小学生になり時計を基準にした生活習慣に慣れていくと9歳10歳くらいで大人と同じ感覚になるといわれています。

言葉を選べば子供も動く

小さな子供は、時計を理解していません。「早く!」「急いで!」と言っても、時間的にどれくらいなのか分からず、単純に怒られていると感じてしまいます。「おやつは後で」「公園は明日だよ」と言っても、今じゃないみたいだけど、どのくらい待てばいいのか、なぜ今はダメなのか分からず、駄々をこねてしまう子供もいます。「できごと時間」で生きている子供に時間感覚を伝えて動いて貰うには、「ちょっとだけ」と曖昧に言うより「1回だけ」とはっきり回数で伝えたり、「アンパンマンをみてからおやつだよ」とイベントを基準にすると理解がしやすいでしょう。急いでほしい時には「さあ、競争だよ〜!」「どっちが早くできるかな?」と、やって欲しい事に意識を持って行き、集中できる指示を出してあげるといいと思います。

結婚式の中でも、リングベアラーやフラッグボーイ、フラワーガールが登場するシーンがあります。1人で行けなくなってしまったり、想いもよらない行動をとったりもありますが、いずれにせよ、子供の強み、可愛くて笑顔を誘うシーンです。

森藤りか