司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.15『ボイストレーニング』2019年6月

コラムVol.15『ボイストレーニング』2019年6月

実はまだ、声・喉の調子がよくありません。その原因と、対策方法をずっと模索しています。先月の声・喉のケアに関するコラムに続き、今回は、先日学んできたボイストレーニングを踏まえ、あらためて発声の仕組みや正しい発声法について書きたいと思います。

声はどうやって生まれる?

他の音と同じで、声も空気の振動によって生まれます。

息を吐くことで声帯振動を起こします。この時は、まだブザーのような振動音がしているだけですが、身体の中の空洞に共鳴させるとその音を大きくすることができ、そして、口や舌の形を変えると様々な言葉になって声が生まれます。文字で書くと4つの段階を経て声が生まれるのですが、人は瞬時に当たり前のようにこうやって声を出しています。

クラリネット、サックス、オーボエなどの木管楽器を吹いた事のある人は、リードが声帯で、楽器本体が共鳴腔と考えるとわかりやすいです。

また、子供の頃、タンポポの茎で作った笛を吹いて遊んだ事はありませんか?口に咥える方の茎をつぶして息を吹いて鳴らしました。完全にぺちゃんこではなく、付かず離れずの力加減で咥えて音を出しました。茎の長さによって音の高低が変わったのを覚えています。

人の身体に置き換えると、つぶした茎の振動が声帯振動、ストロー状の茎全体が共鳴腔と言えます。

間違った発声法をしていないか?

息を吐く・声帯振動・空洞に共鳴させる・口や舌の形を変える。この当たり前のことの中には、知らず知らず変なクセがついてしまったり、間違ったやり方だったり、大きな負担がかかってしまうことがあります。声や喉に違和感がある時には、このどれかをしっかり見直すことが重要です。

かく言う私も、そうです。
例えば息を吐く部分を見てみましょう。大きな声や高い声を出す時、喉を絞るように必要以上の力を入れてしまう人は要注意です。目印は、首にスジが立っていたら、危険です。喉に力を入れなくても、大きな声、高い声を出すことは出来ます。また、発声する時の息の量が多い人も、声帯に必要以上の呼気があたってしまうため喉への負担がかかってしまいます。正しい息の量をコントロールすることが大切です。

よく「お腹から声を出す」と表現されますが、微妙な表現だと思います。正確には、お腹までは息は入りません。息が出入りするのは、肺です。息は、肺から押し出されます。そして、声を出す時は「腹式呼吸」が良い事は、誰もが聞いたことのある情報ですね。

肺は、肋骨に囲まれ、横隔膜に支えられるように配置される臓器です。肋骨を開いて広げると「胸式呼吸」横隔膜を収縮させ上げ下げすると「腹式呼吸」が出来ます。横隔膜を上下させることで、肺を広げやすくなったり、押し上げたりできるという意味合いで、「お腹から声を出す」と表現されるのでしょう。

響く空洞を理解すること

共鳴させる場所の違いで声の種類が分けられます。

喉仏の下、胸の上の辺りに手をあてて、あ〜と、低めの声を出してみると、手に振動が伝わってきます。地声(胸声・チェストボイス)です。低音で太く響く男性のモテ声です。麒麟の川島さんや福山雅治さんのような声、素敵ですよね。しかし、こもって聞こえる傾向もあることと、声帯に近い気管でダイレクトに響かせるため、声帯を傷つけてしまう危険性もあります。

そしてさらに、喉仏の下、胸の上の辺りに手をあてて、あ〜と、低音から順に少しずつ声を高くしていくと、手に振動が伝わらなくなる境界線があります。そこから先は、裏声(頭声・ヘッドボイス)と言われます。実際には、頭で響くのではなく、頭蓋骨、鼻の空洞の一番上、頭に一番近い所で響かせます。鼻に手をあてると、鼻が振動しているのがわかります。極端なヘッドボイスは、女性から嫌われる傾向があります。嫌われ女子代表のものまねをする時、鼻にかけた声で、頭から出ているのかと思うくらい高い声で喋るのも、多くの人の共通認識になっているのではないでしょうか。

他には、地声(胸声・チェストボイス)裏声(頭声・ヘッドボイス)の中間の声があります。ミックスボイスと言います。ミックスボイスは、鼻腔に共鳴させます。地声(胸声・チェストボイス)と裏声(頭声・ヘッドボイス)の良いとこ取りがミックスボイスです。鼻腔はとても広い共鳴腔です。喉に負担をかけずに、響きのある大きな良い声を出す事ができます。

表情筋を使う

今までも、何人かの先生からボイストレーニングをして頂きました。今の私の声と喉の状態を考えて情報収集していた所、この方法だ!とビビッと感じるものがあり、ある先生にミックスボイスをマスターする方法を学んできました。成果は期待通りです。表情筋を使って、鼻腔共鳴の発声を短時間で体感させてくれるものでした。ただ、普段あまり動かしていなかった表情筋も使うので、初めはなかなか動きませんでした。痛みを伴う所もありました。

それと、脳化学的観点から頭で考え意識をして動かすのではなく、まず行動が先という理論をお話して下さいました。意識する→緊張する→硬直して動きにくくなる、だからその前に、自分の顔の表情筋を手で持ち上げ、手で動かし、とにかく動かして、肉体・フィジカルを変えていくとのことです。何度も繰り返す中で、眠っていた神経を呼び覚まし、回路が繋がれば楽に自由に表情筋を動かせるようになるそうです。

表情筋を使うボイストレーニングのやり方の詳細は、しばらく続けてみた自身の変化と感じた事なども含めて次回に書きたいと思います。

トレーニング直後の効果?!

花粉症で時々鼻づまりがあるのですが、トレーニングをすると鼻が通ることに気がつきました。それと、最近、痩せた?顔が引き締まった?と数人から言われました!さすが!表情筋を鍛えたら小顔効果もあるって!嬉しいおまけです。

このボイストレーニングで、声の出し方、響かせる場所を変えていったら、私の声・喉の状態がどう変わるのか、しばらく検証し続けてみたいと思います。

森藤りか