司会・ビジネスボイスPro講師 森藤 りか

コラム 声×言葉

コラムVol.11 『寒い~!』2019年2月

ココラムVol.12 『寒い~!』2019年2月

寒い日が続いていますね。皆様お元気ですか?

猛威を振るうインフルエンザ対策にも気をつけながら、マスク、マフラー、手袋、暖かインナー、タイツと完全防備。それでも超寒がりな私は、寒い時には、「寒い~」と口に出します。

そして、一流の人は「暑い・寒い・痛い・疲れた」と言う言葉を口に出さないそうです。それらの理由について書いてみます。

まず、私の場合

その瞬間の共有感覚を味わう気持ちで、確信的に口にしています。「寒いね~」と言って「ホント寒いね~」のやり取り。これだけでいいのです。

こんな寒い日だけれど、同じ感覚を味わいながら誰かと一緒にここにいると感じられること。それが嬉しいし楽しくなります。「美味しい」「キレイ」「美人」「イケメン」は好みが別れて共感しあえないこともありますが、「暑い」「寒い」は割と幅広く共感できる感覚です。共感は信頼を生みます。心が繋がります。

「寒い」と感じて口にすることで、相手との距離を縮めるきっかけになって、心がぬくもりを感じるやり取りへと発展することもあります。相手も「寒い」と感じているのなら、身体が温まるものを食べに誘うとか、手袋をしていなければ、手をつないでコートのポケットに入れてあげようとか、長めのマフラーを一緒に巻いてとか、次に繋がる行動で、ラブラブな恋人同士や親友との距離もますます縮まりますね。寒いからこそ出来る接近術もなかなか良いものです。

「寒い」「暑い」を言う人を不快に思う人も多いという現実

「寒い寒い」や「暑い暑い」と言う人を、不快に思う人は、2~4人に1人くらいいるそうです。言ったところでどうしようもない事ですし、あたりまえの事を言われても返事の仕様もないと言う理由だそうです。

ただの口癖や、やる気のない人の言い訳やネガティブ言語の垂れ流しに聞こえるそれは、確かに嫌ですよね。2人に1人はかなりの確立です。これは、気をつけた方が良さそうです。

一流の人は

中谷彰宏氏著の『一流の人が言わない50のこと その一言に品格が現れる』(日本実業出版社)に、一流の人は「寒い、寒い」と言わない理由が書いてあります。

一流の人は環境に不満を言いません。二流の人は環境に不満を言います。(中略)一流の人は、不満を言っているヒマに工夫をします。不満からは何も生まれません。工夫は何かを生み出します。一流と二流の違いは生産性があるかないかです。環境に対する不満には、生産性がないのです。工夫をする人は不満を言わないし、不満を言っている人は工夫をしません。『工夫』と『不満』はスイッチの両面なので、必ずどちらかに入ります。これは基本的な思考回路です。

(中略)一流の人は、冬に『冬が好き』と言えます。口先だけで『冬が好き』と言っている人は、モコモコの格好をしています。寒さに対してネガティブな感情を持っているから、着込むのです。冬を楽しんでいる人は、外にちゃんと暖かいものを着て、中は薄着です。冬を楽しんでいる人は姿勢もいいのです。寒い時は、『ロングコートがやっと着られる』と思えるのです。寒い時しか着られないオシャレがあります。冬を楽しんでいない人は、背中を丸めて『寒い、寒い』と言っています。」

なるほど、一流の人が集まる一流のホテルの一流ドアマンは、寒い日も暑い日も、きちんとした服装で、ピンと背筋が伸びていてかっこいいですよね。品格を感じます。

私も昨年、少々お値段が張りましたので迷いましたが、凄く気に入った皮のライダースジャケットを奮発しました。今年の冬もそのライダースジャケットを着られることが楽しみでした。そして、そのジャケットに合わせたファッションを工夫する事も楽しんでいます。

そもそも一流の人とライダースジャケットってイメージが離れているかもしれませんが、考え方としては一流に向いている、ということにして下さいませ。

10年程前の出来事

ある夏の暑い日の待ち合わせで、「お暑い中有り難うございます。」と言ったら、「そんなに暑かったのね。忙しくて暑いと感じてる暇がなかったわ。」と返された事があります。素晴らしいと思いました。

私が尊敬している人生の先輩のおひとり、70歳近い女性です。生涯現役でと一生懸命になれるお仕事を続けていて、猛暑を感じない程の集中力で向き合っていらっしゃる姿に驚きました。とても考えさせられる会話でしたので、今でも鮮明に覚えています。

彼女も一流と呼ぶにふさわしい方だったと思います。

会話のはじまりに

初対面の方や、あまり良く知らない方との会話のきっかけ、どうしていますか?天気の話は付き物ですが、「今日は寒かったですねぇ。」「そうですね。寒かったですね。」ここで終わっては、話が続きません。それでは勿体ない!

大切な事は、「寒い」にちなんだ質問をいくつか準備しておくことです。「寒い」にちなんだ話をつなげて会話を広げていくのです。

  • 「寒いのはお得意ですか?」…出身地が分かるかも。
  • 「こんな時は、熱燗ですね。」…お酒好きか否か。
  • 「スキーやスノボはやられますか?」…インドアかアウトドアか。

など、相手の方の趣味嗜好を探り出す手段のひとつになります。四季のある国、日本ならではの感性と話題でコミュニケーションも豊かになります。司会をする時にも必要な感覚です。

さぁ~て、最後に問題です。
このコラムの中で、「寒い」って何回言ったでしょうか?!

森藤りか